 日本の運送大手『佐川急便』の関連会社『佐川印刷』(本社京都府向日市)の元役員が、同社子会社を通じて約80億円を、シンガポールやモンゴルなどの事業に不正流用したとして国際手配され、フィリピンで入管当局に拘束されていた63歳の男が、11月15日、日本へ送還されることになった。
同容疑者は京都地検の検事以下関係者4人が入管から身柄を引き取り、午前の日本行の飛行機内で日本の領空内に入った時点で逮捕状が執行される。
同容疑者は2015年2月、不正流用の捜査が進められていることを知り、国外逃亡を計り、マレイシアを経てフィリピンに潜入し、1年以上フィリピンに滞在していた。
しかしながら同年11月に日本の外務省が容疑者のパスポート返納命令(実質的な無効措置)を発令。
それに呼応してフィリピン当局も2016年10月6日に『違法滞在』として同容疑者の逮捕状を発行し、同年10月20日、ルソン島リサール州ビナゴナン町(図参照)の知人宅に潜伏していた容疑者を逮捕した。
京都地検の逮捕容疑は2015年6月、子会社から4億円を容疑者の知人に不正送金した内容で、今後日本において全容解明が成される見込み。
なお容疑者は在フィリピン日本大使館担当官の聴取では容疑を否認し、また知人には上から命じられて仕方なくやり、自分は着服しないと述べている。
80億円に上る流用先だが、これまで判明している不正流用先は★シンガポールのサーキット建設と京都府京丹波町の寺院建築(約54億円)。
★モンゴルの金融機関への増資資金(4億円)。容疑者が代表取締役をしていた別会社への資金流用(約16億円弱)。京都府南丹市のゴルフ場買収資金(約7億円強)。などとなっている。
佐川急便は1992年に当時の自民党の実力者『金丸信』(後に議員辞職)へ裏金5億円を渡した事件を起こしていて、その後も不祥事の絶えない企業であり、そういった企業風土が今回の事件と関係が深いのではと指摘されている。
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