12月1日の『世界エイズ・ディー』に、フィリピン保健省長官は国内で増加する一方のエイズ/HIV(免疫不全症候群)に対して、官民挙げての対策が急務と警告を発した。

フィリピンのエイズ感染資料では1984年から2016年10月までに38114人の感染が確認されているが、その内2011年から2016年の間に32099人と短い間に急増する感染者数を記録している。
特に15歳から24歳の若年層では1984年以来計10279人が確認されているが、2011年から現在までに9066人を占め若年層間で爆発的な感染が広まっている。
この状況に対して保健省長官は教育省と協力して2017年度から学校で『コンドーム』を配布する計画を表明。
フィリピンはアキノ政権時代に爆発する人口対策に貧困層へのコンドーム無料配布や学校に置いての性教育の実施など緩やかな政策を実施したが、頑迷なカトリック教会勢力によって思わしくない状況となっている。
こういった中、学校内でコンドームを配布するなど性の乱れを助長すると反対の声は強いが、ドゥテルテ政権が性病に対して危機感を抱いているのが伺える。
未熟な性行為によってエイズ、梅毒、淋病など性感染症が若年層に蔓延しているのは世界的な傾向で、フィリピンのように性教育自体がタブーな国では積極的に採用すべしとの声も強い。
また、コンドームを学校で配る事は、避妊知識とコンドームを買えない層に対して有効で、望まない妊娠を防げると性病予防同様の指摘もある。
日本人が好むフィリピンのカラオケ店で働く女性の多くはいわゆる『シングル・マザー』が占め、中でも高校在学中の妊娠による望まない出産で、母子ともに将来が奪われている例もある。
早急に学校に置ける性教育とコンドームの配布がこれら悲劇とエイズを含む若年層の性感染症の蔓延を防げるとしている。
なお、エイズに関して世界保健機構(WHO)が進めている『HIV自己検査キット』をフィリピンも取り入れるように検討中だが、同長官は食品医療品局(FDA)がこのキットを早く登録、認可するよう要望した。
しかしながら、このキット普及に関しては充分な予備知識とカウンセリングが必要なため、簡単にドラッグ・ストアで手に入れられるようなことは避けたいしている。
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