一部の自治体でプラスティック袋使用を禁止、あるいは昨年はフィリピン有数の観光地ボラカイ島を環境整備を理由に半年間閉鎖するなど環境への関心は高まっている。

中でも汚染度の高い首都圏マニラ湾の浄化を目指して、関係省庁が動き出し、湾岸に立地し汚水を垂れ流しているホテルや工場などの改善、閉鎖命令が相次いで出ている。
天然資源環境省はマニラ湾に注ぎこむ川に汚水をそのままに垂れ流しているとして、1月下旬にブラカン、バタアン両州にある工場47社に対して閉鎖命令を出した。
閉鎖命令を受けた工場は環境天然資源省の許可を得ていない皮革や宝石の加工業が主で、地域別ではブラカン州が43社、バタアン州が4社となっている。
同省地域事務所は排水の浄化設備が設置するまで工場の再開許可は出さないと言明しているが、これら工場の違法操業を見逃していた地元自治体の監督責任を問う声も上がっている。
同様に同省はマニラ湾沿いに走る幹線道路ロハス大通り沿いに立地する飲食店に対して、閉鎖命令を含む汚水処理改善の指示、勧告を出したが、やはり今まで見逃されていたのは許認可権限を持つ国や自治体と違反店との間に癒着があったのではと指摘されている。
この他、マニラ市はマニラ動物園が汚水を垂れ流しているとして、1月下旬から4ヶ月間の閉鎖命令を出したが、大人の都合で子どもの夢を奪っているとの批判が強い。
こういった状況の中、環境天然資源省長官は声明を発表し『マニラ湾浄化には7年間かかる』との見通しを示した。
声明によると、第1段階は湾岸のゴミの清掃と排水処理施設の整備、第2段階に古い下水管の修復と川沿いに住む不法占拠家屋の撤去と住民の他への移住、第3段階としてゴミに対する教育と周知、首都圏各地の下水処理施設設備完了となっている。
この声明に対して、要する予算や裏付けなどが示されていなくて、環境天然資源省の絵に描いた餅ではないかと早くも批判されている。
しかしながら、教育機関でのゴミ教育はすぐにでも出来ることで、道路へのゴミのポイ捨てや川はゴミ投棄など当たり前に思っているフィリピン人に対して、子どもの段階でゴミ教育を徹底するべきで、資金もかからないと指摘されている。
【写真はゴミが堆積するマニラ湾海岸の日常的な様子】
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