8月3日、セブ島などヴィサヤ地域に含まれるパナイ島最大の都市イロイロ市(人口50万以上)と、対岸にあるギマラス島間を結ぶボート3隻が相次いで転覆し、これまでに死者28人、行方不明6人が確認された。
 転覆したボートは『バンカボート』と呼ばれるアウトリガーの付いた小型船で、セブなどの観光地で『アイランド・ホッピング』に使用される船と変わらない造りになっている。
事故のあった当日の海域は低気圧の影響で風速15メートル前後の強風が吹き、波の高さは3~4メートルの荒天状態であったと見られ、その条件下で出航を強行した関係者に対して『人災』であるとの批判が高まっている。
イロイロ市とギマラス島間は約3キロしかない狭い水道で、運航責任者は視認できる安心感から出航したと見られているが、最も多くの犠牲者を出した船は、先に出航していた前2隻が正午頃に転覆し、その情報が当然入って然るべき状況であったにも関わらず、出航を強行し3時半頃に転覆していて、判断に過ちがあったと指摘されている。
また、至近距離の安心感から法で定められている救命胴衣数が配られていない、数が足りない、乗客が装着しないなどのミスも指摘されていて、救命胴衣を着けていなかった乗客は海に投げられてそのまま溺死に至ったと見られている。
死者・行方不明者34人を生じた大事故だが、この他にも乗船名簿に載っていない乗客がいるのではないかとの見方もあって、被害者数は拡大する様相を見せている。
フィリピンは人の住む島が4000以上あり、島と島を繋ぐ航路はかなり発達しているが、老朽船やバンカボートで繋いでいる航路が多く、度々死者多数の転覆事故を起こしているため、フィリピンの船旅は注意が必要と指摘されている。
【写真は中央部にイロイロ市を眼下に臨み、対岸左側がギマラス島でこの海峡で事故があった】
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