フィリピンの一大産業になっているコールセンターは多くの労働問題を抱えているが、中でも従事する外国人の違法就労が問題になり、取り締まり当局の摘発が相次いでいる。
 10月9日午後9時40分、首都圏パラニャケ市のミレニアム・ビル7階にあるコールセンターの『ゴールデン・ユニコム・テクノロジー』社に、入管や警察などの合同部隊が急襲し違法就労の疑いで542人を逮捕した。
逮捕容疑は労働許可証を取得しないで業務に従事したことだが、同社は中国当局からの情報によって『投資詐欺』に加担していた疑いがあり、そのため摘発時には中国の捜査当局者も立ち会っている。
この摘発で特徴的なのは逮捕された従業員の国籍が様々で、投資詐欺が東南アジア諸国を対象に広がっていることが明らかになった。
摘発された国籍別では中国人が442人と多数を占め、次に45人のミャンマー人、25人のマレイシア人、23人のヴェトナム人、4人の台湾人、3人のインドネシア人となった。
今回の摘発では日本人は含まれてはいなかったが、タイで摘発された電話詐欺グループのように日本人グループが海外で暗躍する組織は多く、氷山の一角と見られている。
今回は詐欺の疑いのある大掛かりな摘発であったが、正規の業務を行うコールセンターの中には『インターン』と称して、短期間の業務に従事させる事例が増え、日本など海外から人を呼び寄せているが、短期滞在でも労働許可証が必要で、実際、セブのコールセンターで日本人が多数摘発されている。
フィリピン入管当局は外国人の不法滞在及び違法就労の摘発に力を入れていて、中でも伸長著しい違法『オンライン・カジノ』に従事する外国人摘発に相次いで動いていて、最近でもパラワン島にある8つのホテルを急襲し、中国人324人を逮捕している。
なお、コールセンターは首都圏から賃金、事務所費などランニング・コストの安い地方に流れていて、セブ、バコロッド、ダヴァオといった地域の中心都市で増えている。
また、政府は従来単一のビルをコールセンターにする場合『経済特区』にして、税制上優遇措置を与えていたが、最近首都圏ではビルのコールセンター経済特区は認めない方針になり、これが地方への移転を加速させている。
【写真はセブに在る単一ビルのコールセンター経済特区】
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