雨の降らない『エル・ニーニョ』現象が続き、フィリピン各地は水不足に見舞われているが、人口の集中するマニラ首都圏では水道の断水が続き、商業活動や日常生活に深刻な影響が出ている。

マニラ首都圏には2社の水道配給会社があって、この中で首都圏東部に供給するマニラ・ウォーター社(MW)は、マカティ市、パッシグ市、タギッグ市、マリキナ市など首都圏各地で水不足を利用に断水に踏み切った。
断水措置は高級住宅地、モールなどの商業地域にも及んでいて、MW社の水供給の不手際に批判が集まっている。
MW社はケソン市にある貯水池『ラメサ・ダム』【写真】を水源としているが、同ダムの通常の水位は80メートル台であったが、現在60メートル台に減水していて、1998年にやはりエル・ニーニョ現象で観測された最低水位に迫っている。
一方、首都圏西部のマニラ市などに供給する『マイニラッド』社は水源を首都圏北方にあるアンガット・ダムとラグナ湖を水源としていて、雨の降らない中、同ダムは通常水位212メートルから200メートルの水位を保っていて、警戒レベルの180メートルまでにはまだ余裕があり断水の予定は発表されていない。
このように首都圏で配水状況の明暗が分かれているのは、MW社が一つの水源しか確保していないことから、同社の経営、管理維持体制に問題があると指摘され、同社もその指摘を認める声明を出した。
また、首都圏水道局によると、MW社が供給している地域では1日当たり17億5千万リットルが必要なのに供給能力は1日16億リットルしかなく、水源の水不足だけではなく根本的な供給体制に問題があったと指摘されている。
このため、同局はMW社の水源不足を解決するには現在計画中のケソン州の『カリワ・ダム』の建設を急ぐ必要があると推進しているが、同ダムは環境天然資源省の環境調査が行われていて、早期着工には遠い状態となっている。
同ダムはフィリピンと中国間で覚書が交わされ、中国の融資で建設されることは決まっているが、中国に対する債務への不信感やダム建設による環境派による反対運動もあり先行きは不明。
着工にこぎ着けても完成、操業までかなりの時間がかかるのは確かで、マニラ首都圏の水不足は天気次第という状況が当分続くことになる。
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